講師:日本大学 商学部 樋口紀男教授
■広告とメディア
【論点】
従来、広告論でメディアを論じる場合は広告の到達効果と効率の視点からメディア・ミックスを議論の焦点としてきた。しかし戦後の消費社会では、ブランドだけでなく人々のアイデンティティも、さらには社会のリアリティも”メディア”によって構成されてきた。つまり、ヒト・モノ・ココロがメディアによって構成されるということである。メディアは到達効果や効率以上の作用を広告にもたらしたといえる。
インターネットにより情報や人々の情報行動が多様になってきている今日、広告やマーケティングにおける意味を再考することが必要ではないだろうか。
次の文献を参考に。
石田英俊 (東京大学) 2003年 「記号の知/メディアの知」 東大出版会
佐藤卓巳 (東京大学) 2006年 「メディア社会」 岩波新書
吉見俊哉 (東京大学) 2004年 「メディア文化論」 有斐閣
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1.メディアを考える
(1)語意 media はラテン語の「中間」「仲立ち」を意味するmediumの複数形
①中間、中立、中庸 → between extreme (両極端の間)
②媒介物、媒体、媒質、手段、方法 → 物体と五官の中間で光を伝える ether (光や熱の伝導体)のようなもの、また音を伝える空気のようなもの。 the medium of circulation:通貨、「英語でヨーロッパを学ぶ」場合の「英語」はよーりっぱを学ぶための媒体。
③生活環境、生活条件
④巫女、霊媒、イタコ→物質界と精霊者の媒介者
(2)語意の経緯 16世紀ごろから使われ、17世紀には「中間」や「仲立ち」といった意味で使われた。18世紀になると新聞を medium として使われた。
(3)メディアとは何か
・モノ — ヒト:ヒトはモノの資料と形相からモノの使い方を考えた。
・モノ—コトバ—ヒト:ヒトは言葉で考えモノの意味を考えるようになった。
2.情報とは
情報とは一般的に「ある事柄についてのお知らせ」「判断を下したり行動するための媒体を通しての知識」→「しらせ」「たより」「ニュース」など。
クロード・シャノンは情報を「意味」ではなく量として捉えた。情報とは「コミュニケーションの情報源(=発信者)にある<自由度の度合い>、換言すれば「不確実性の度合い」として測られるべきもの。→天気予報<大きな情報>と<小さな情報>
クロード・シャノン について → [amazon_enhanced asin=”4480092226″ price=”All” background_color=”FFFFFF” link_color=”000000″ text_color=”0000FF” /]
シャノン,クロード・E.
1916‐2001年。アメリカの数学者・電気工学者。1948年ベル研究所在籍中に「通信の数学的理論」を発表し、情報理論の基礎を確立した。「情報理論の父」とも呼ばれる。1985年に第1回京都賞を受賞
身体的要因 身体的:自己と外部のルート・メタファである。ルートなので構造化されている。
3.メッセージとは
一般的にはメッセージは「伝えられたり」「送られたり」する言葉や情報のこと。クロード・シャノンは<情報源>が生み出すもので、<情報源>は<コード>、決まりに基づいて「メッセージ」を情報のまとまりとして物理的信号に変換して送る。
// RFC 822, 2822 と似ていますね。 ref.) http://www.ietf.org/rfc/rfc0822.txt
記号論で「メッセージ」は、人間の生活の中の記号活動によって意味が実現したもの。つまり、<ヒト・モノ・コト・ココロ>とそれらの関わりからもたらされる<機能・意味・気分・価値>の記号化といえる。
以上