普段、中小企業の皆様へ Microsoft VDI Virtual Desktop Infrastructure 導入支援をしていますが、時々 Oracle VDI のご相談も受けます。ここでは、Microsoft と Oracle の導入、運用の違いを述べます。
2011/04/01 現在、 Oracle VDI バージョンは 3.2.2
リリースノーツ → http://wikis.sun.com/display/VDI3dot2/Oracle+Virtual+Desktop+Infrastructure+3.2.2+Release+Notes
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■Microsoft VDI
集中管理の仮想化技術で MED-V (Microsoft Enterprise Desktop Virtualization) と App-V (Microsoft Application Virtualization) で構成されており、MED-V はMED-Vサーバから仮想マシン・パッケージを HTTP/HTTPS (BITS含む)で仮想マシンを動作する環境へ自動配布します。パッケージの更新状況をイメージ・レポジトリとして管理しており、部門単位でのイメージ区別した配信も配布です。また管理ツールで App-V で配布するアプリケーションを仮想マシン、物理マシンどちらに表示させるか、IE から IP アドレス入力か、名前空間によるサブホスト名的にアプリケーションを仮想、物理表示の切り替えにも対応します。
App-V はクライアント側インストール済みであることが前提ですが、これは OS 上で間接的に参照する機能を提供するため、直接参照で起きていた何かのアプリを起動したまま別の特定アプリを起動できないなどの不具合をこれで解消できることも実現できます。(が、それなりの CPU パワーをクライアント側に要求されます)
しかし CPU パワーをクライアントに要求される仕組みでは仮想化メリットを享受しているとは思えません。そこで、画面描画(プレゼンテーション)の仮想化を行い、リモートデスクトッププロトコル RDP を用いることで、処理用と操作用間で負荷を低減できそうです。それでもなお、処理用環境が必要となるのでコスト的ではありません。そこで登場するのが Windows Server 2008 R2 から提供された リモートデスクトップサービス RDS を使うことで サーバにインストールされたアプリケーションをそのままクライアント側から使用可能となる RemoteApp でリソースの集中管理をサーバで行うことでコスト的メリットが出てきました。
それでもなお一層のデスクトップ仮想化が求められたため登場する技術が VDI Virtual Desktop Infrastructure です。サーバの Hyper-V 上でクライアントの処理マシンを仮想マシンとして存在し、クライアントは真の ThinPC として提供する仕組みです。
VDI の利点は次の通り
- 購入したサーバ・リソースをリソース・プールとして最大限活用できる
- クライアント・マシンの性能が少々劣っていても、最新のOSやアプリケーションを利用できる
- 新しいOSの社内展開がサーバ・ルーム内で迅速に実現できる
- デスクトップに関するトラブルにもサーバ・ルーム内で対応できる(クライアント・マシンの故障は別)
- クライアント・マシンが故障した際、代替が容易になる(要件がRDPぐらいで済むため)
- クライアント・マシンに影響されることなく、アプリケーションと互換性のあるOSを仮想マシン化して利用できる
■Microsoft VDI 環境構築は次のWeb資料をご覧ください。
http://technet.microsoft.com/ja-jp/edge/Video/ff973101 (おすすめ構築デモ)
http://blogs.technet.com/b/windowsserverjp/archive/2009/12/15/3300173.aspx
http://technet.microsoft.com/ja-jp/windows/gg182761
http://www.atmarkit.co.jp/fwin2k/operation/vdi02/vdi02_02.html (MSKK高添さん解説)
■Microsoft VDI 料金、運用方法はどうなの?
仮想PCのOSライセンス料金ですが、通常料金ではなく専用料金が必要となります。商品名 Windows Virtual Desktop Access (VDA) は月額 1,100円 / User です。ただし保守サポート契約 Software Assurance (SA)、企業向け包括契約 Enterprise Agreement (EA) 締結企業は Microsoft VDI で使用する仮想 PC の OS ライセンスは無料である。
運用方法は一度構成さえしてまえば、アプリケーションの増分対応以外の運用はシステム管理者の労力をさほど要求されない。ただしユーザ教育は必須で、これまでのようにユーザ環境で好き勝手に持込あるいはネットダウンロードアプリが使えなくなることは説明しなければならない。これは全体生産性を高めることにつながるものであると、正しくユーザ理解させねばならない。「俺はこんな環境は使えない、自分でPCを買って持ち込みたい」というユーザがいるならば社内規則で排除するなどの選択肢も芽生えるだろう。
■オンプレミスではなく DaaS (VDI の ASP) で利用したいときは?
IIJ, S&I, NEC NetSI, NTT Communications, Softbank Telecom, SoftBarin, TSE, 日立情報システムズ, 日立SWE, Fujitsu, 丸紅から提供されています。
料金 → http://it.impressbm.co.jp/e/2010/09/28/2695
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■ Oracle VDI
Oracle Virtual Desktop Infrastructure は、仮想化プラットフォーム、セッション管理 (Oracle VDI コア)、デスクトップアクセスクライアント、およびストレージの 4 つの主要コンポーネントで構成されている。基本的な考え方は Microsoft VDI と似ているが、多少の言い違いや実装方法の違いがあるので、詳細は次のWeb情報で確認してほしい。
→ http://wikis.sun.com/display/VDI3dot2JA/Home+%28Japanese%29
→ http://wikis.sun.com/pages/viewpage.action?pageId=216518287 (Oracle VDI 3.2 リリースノーツ)
■ Oracle VDI 特徴
• Sun Ray Software 5 に対応
• Oracle VM for VDI (VirtualBox 3.2.10) に対応
• VMware vSphere 4.1 に対応
• Microsoft HyperV 2008 R2 に対応
• 汎用RDPプロバイダに対応
• 複数のADドメイン・フォレスト環境に対応
• VDI環境間のグローバルローミングに対応
• 個人データ用仮想ドライブに対応
• VDI / ストレージ専用ネットワーク構成に対応
• ゲストOSサポートの拡張
• Windows 2000, XP, Vista, Windows 7, Oracle Linux, SuSE, Ubuntu, Solaris 10
これまでの Oracle (Sun) VM VirtualBox が Microsoft Hyper-V, RDS や VMware vCenter と同じレイヤに位置し、その上位で Oracle VDI Core がRDP 通信により存在する。
また、ここでは触れていませんが従前より Oracle VM という商品があり、仮想化テクノロジの利点を効果的に利用するために完全装備された環境を提供するプラットフォームであり、サポートされる仮想化環境内にオペレーティング・システムおよびアプリケーション・ソフトウェアをデプロイできる。
そうなると、Sun Ray3 Plus ThinClient をそのままクライアントマシンとして継続利用できそうだ。
↑ SunRay3PlusThinClient (MTBF 20万時間 = 連続稼動で 22年間以上) しかも、カード併用なのでセキュア度はかなり高い。
Oracle VM Management Packは、OracleアプリケーションとOracle以外のアプリケーションの両方をサポートするサーバー仮想化を実現し、 OSS サーバとWebブラウザベースの統合管理コンソールで構成されるOracle VMは、GUI インタフェイスを持ち、x86およびx86-64ベースのシステム上で企業全体にわたって稼働する仮想サーバー・プール作成、管理するものである。
Oracle Virtual Desktop Client (OVDC) もクライアントとして使用可能。→ http://wikis.sun.com/display/OVDC2dot0JA/Home
なお、Oracle Secure Global Desktop を使えば、MSAD に標準対応しているので既存環境が AD である場合には違和感なく導入できる(いや、しかし最初からADで組んでれば・・・略)
■Oracle 仮想化に最適なストレージもお忘れなく・・・。
ZFS Storage アプライアンス 最大 2.9 PB
↑ SunZFS_Storage アプライアンス。ストアエッジのNetApp Filer風 かよwと思った貴方、相当昔からストレージに取りつかれてますねw
■ 補足:Oracle VM for VDI
• VirtualBox base
• デスクトップ仮想化
• Solaris 10 のKernel Service
• Device Emulation
• Windows 2000, XP, Vista, 7
• Ubuntu Linux, SuSE など
■現在入手可能な Oracle VM について
Select | Description | Release |
Part Number | Updated | # Parts / Size |
---|---|---|---|---|---|
Oracle VM 2.2.1 Media Pack | 2.2.1.0.0 | B58990-04 | FEB-02-2011 | 4 / 1.6G |
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Oracle VM 2.2.0 Media Pack | 2.2.0.0.0 | B56819-01 | OCT-15-2009 | 4 / 1.6G |
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Oracle VM 2.1.5 Media Pack | 2.1.5.0.0 | B55182-02 | JUL-13-2009 | 4 / 1.5G |
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Oracle VM 2.1.2 Media Pack | 2.1.2.0.0 | B51487-01 | SEP-07-2008 | 3 / 1.4G |
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Oracle VM 2.1.1 Media Pack | 2.1.1.0.0 | B37285-01 | MAR-20-2008 | 3 / 1.3G |
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Oracle VM 2.1 Media Pack | 2.1.0.0.0 | B36933-03 | NOV-20-2007 | 3 / 1.3G |
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Total: 6 |
Select | Name | Part Number | Size (Bytes) |
---|---|---|---|
Download | Oracle VM Server 2.2.1 | V21103-01 | 398M |
Download | Oracle VM Server 2.2.1 Source | V21104-01 | 600M |
Download | Oracle VM Manager 2.2.0 | V18419-01 | 580M |
Download | Oracle VM Windows Paravirtual (PV) Drivers for Microsoft Windows Guests (XP/Vista/7/2003/2008/2008 R2) 2.0.7 – 32-bit/64-bit (signed by Microsoft for the Windows Logo Program for Windows 2008 , Windows 2008 R2, Windows 2003 and Windows 7) | V22937-01 | 8.6M |
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■Oracle VDI 料金、運用方法はどうなの?
2011年3月度(20110308a) Oracle日本語版リストプライスによると・・・
- Oracle VM Management Pack ライセンス料金 195,700円 (プロセッサ単位)
- ユーザライセンス 3,800円
安い、高いの判断は何とも・・・。これに Windows 2008 Server R2 ライセンスなどが乗ってくると、価格は微妙です。
運用方法ですが、Oracle VDI Core を運用しているという話をほとんど(たまたま?)聞かないので何とも・・・。ユーザディレクトリ環境とネイティヴではなく、LDAP か MS AD を外部連携しなければならず動作させる対象が Windows Server 2008 R2 と Windows 7 環境であれば MS VDI の選択肢がベストでしょう。 Linux 環境も含まれ、AD ではなく LDAP (X.509) 環境が標準ならば、Oracle VDI もアリという感じでしょうか。
以上